メタルバンド「ハイスピード」のボーカル・ジン(松坂桃李)と、医大を目指す受験生ヒデ(菅田将暉)の二人の兄弟。厳格な医師の父・誠一(小林薫)と明るく優しい母・珠美(麻生祐未)のもとに生まれ、幼い頃から厳しく育てられてきた二人だったが、兄のジンは父の意に反して音楽の世界にのめり込んでいく。弟のヒデはそんな兄を案じつつ、父と同じ医学の道を志して勉強に励んでいた。
ヒデの浪人が決定した年、ジンのバンドはライブ中にレコード会社の目に留まり、メジャーデビューのオファーが舞い込む。しかし「音楽なんてくだらない」と父の猛反対を受けたジンは、バンドを続けるために半ば勘当状態で家を飛び出してしまった。
一方のヒデも自らの学力の限界を悟るが、いつも自分を信じて応援してくれる母が昔から歯が弱かったという話を聞き、新たに歯医者という目標に向けて勉強を続けることにする。
翌年ヒデは晴れて歯科大に合格した。しかし仲間との出会いにより再び音楽の魅力に引きよせられていたヒデは、実家の部屋でジンが残していったギターを手に取り弾き始める。音楽に触れているとすべてを忘れて夢中になれる自分がいた。そしてヒデはナビ(横浜流星)、クニ(成田凌)、ソウ(杉野遥亮)を誘って「グリーンボーイズ」を結成し、自分たちの曲を作り始める。
その頃ジンは自分のやりたい音楽とレコード会社から求められる路線のギャップ、そして仲間たちとの意識のズレにつまずいていた。それが原因でメンバーのトシオ(奥野瑛太)も脱退し、バンドは解散状態になってしまう。そんなとき、ヒデからアレンジを頼まれていたグリーンボーイズのデモテープを聴くと、心の底から音楽を楽しんでいるようなメロディーと歌声がヘッドフォンから流れてきた。弟たちの才能を肌で感じたジンは、彼らの音楽を手伝うことに。
そうしてむかえたグリーンボーイズの初ライブ。会場にはヒデが浪人中にCDショップで知り合ったガールフレンドの理香(忽那汐里)の姿もあった。ステージ上にヒデたちが現れ、オリジナル曲の「声」を歌い出すと、観客が一斉に沸く。
キラキラと輝く4人の姿をジンとトシオがフロアの隅で見守っていた。改めてバンドとの決別を告げるトシオを背に、目の前の4人に自分の夢を投影したジンは、自らの夢を彼らに託し、プロデューサーとしてサポートに回ることを決意する。
バンド時代に散々嫌味を言われたレコード会社の担当者・売野(野間口徹)に頭を下げ、弟たちの夢をつなぐために必死に奔走するジン。ようやく掴みかけたデビューの道。だが歯医者になるはずのヒデの音楽活動を知ったら父が許すはずもない。そこでジンはある秘策を思いつく。メンバーの顔を一切表に出さずに音楽のみで闘う勝負に出たのだ。
ヒデが歌詞を書き、ジンのマンションのクローゼットでレコーディングされた新曲「道」は、グリーンボーイズあらためGReeeeNのデビュー曲としてリリースされた。母や姉のふみ(早織)も喜んでくれたが、すっかり疎かになっていた学業の遅れに愕然としたヒデは、GReeeeNの活動を終わりにしようとする。そんなヒデに理香の言葉が突き刺さる。
「ヒデってホントは何がしたいの?」。
苦労して医者になり、たくさんの命を助けるために頑張っている父のことは尊敬している。母の期待にも応えたい。その一心で頑張ってきた。でも自分が本当にやりたいことは何なのだろうか。揺れ動くヒデの前に現れたのは兄ジンの姿だった。 その時、奇跡の歯車が動き始めた―!
映画のお話があってから、すぐ主題歌は「ソビト」が良いと決めてました。10年以上も前に作った大切な曲、ずっと世の中に出すタイミングを見計らってましたが、今がまさにその時だと思いました。あの頃の想いを今の感覚で生まれ変わらせアレンジやレコーディングをさせて頂きました。僕達にとって11年目となる新たなスタートに繋がる素敵な曲が出来たと思っています。映画『キセキ-あの日のソビト-』にある、仲間との葛藤も、日常にある大事な人との愛情も、全てがこの曲にあるように思います。全ての大事な人へ、皆様の心に残るような曲になっていける事を願ってます。 by GReeeeN